東京高等裁判所 昭和60年(ラ)56号 決定
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【判旨】
一本件抗告の趣旨及び理由は別紙のとおりである。
二そこで検討するに、抗告理由第1については、適法な抗告理由に当たらない。抗告理由第2については、児童福祉法五七条の二第二項によつて差押が禁止されているのは、身体に障害のある児童に対し、同法二〇条等により支給される育成医療に要する費用、補装具又はこれに代る金銭給付、療育の給付等についてであり、施設に対し措置費として支弁される費用及び施設の措置費請求権は右差押禁止の対象には含まれないものと解するのが相当である。したがつて、右抗告理由は理由がない。抗告理由第3については、児童福祉法によれば、保育所に対する措置費は市町村長が児童を保育所に入所させる措置をとつた場合に、市町村から当該児童に要する費用として保育所に支払われるものであり、その額は「保育所措置費国庫負担金交付基準」に基づいて算定することとされており、市町村の措置費支払義務は、市町村長の入所措置に基づいて当然に発生し、入所措置継続中は継続するものであるから、抗告人の第三債務者立川市に対する措置費請求権は民事執行法一五一条の継続的給付に当たるものと解される。したがつて、右抗告理由は理由がない。抗告理由第4については、児童福祉法及び同法施行令によれば、市町村が支弁する費用に対して、国庫が一〇分の八、都道府県が一〇分の一を負担することとされているが、市町村はその支弁した措置費のうち国または都道府県に対し右負担部分を請求しうるにすぎず、保育所に対し直接措置費支弁の義務を負うのは市町村であるものと認められる。したがつて、右抗告理由も理由がない。抗告理由第5については、措置費に含まれる人件費相当分をもつて差押の制限される労働債権ということはできないから、その範囲を限定して差押の対象から除外されるべきことを明らかにしなければならない必要性はない。したがつて、右抗告理由も理由がない。
(横山長 山下薫 浅野正樹)